観光大国シンガポール

先日ビザの関係でシンガポールに行ってきた。今まで知らなかったのだが、最近できたのだろうか。私は今回到着したのは第3ロビーだった。飛行機から降りたばかりの到着ロビーに「バタフライ・ガーデン」なるものの看板があった。はて、なんだろう、とばかりにのぞいてみたら文字通り蝶の舞う庭だった。ガーデンスペースを設けそこで蝶々を何種類も放し飼いにしている。もちろん飼育していれば繁殖する。幼虫は見かけなかったが、さなぎはガラス張りの箱の中にきれいに並べて入れられていて羽化するところが見れるようにもなっている。これは外国からくる観光客にとって南国ならではのうれしいおもてなしなのではないだろうか。蝶々など虫一般がダメな人にはNGだが、あふれるばかりの緑のなかでパイナップルに集まる色とりどりの蝶々たち。きちんと管理されているのがよくわかる。飛行機で1時間半程度の距離の私でさえこのおもてなしに「お~!」と感動したのだから、寒い季節や夏の短い国から訪れる観光客はもっとテンションがあがるのではないか。これから始まる旅がますます楽しいものになってくれそうな予感がかきたてられるというか。ドアには「撮るのは写真だけ、残すのは足跡だけ」という注意書きがある。バタフライガーデンに気を取られ写真を撮ったり、羽化したばかりの蝶々を眺めてたりしたので、すっかり入国審査のタイミングが遅くなり、荷物の受け取りも既に終わっていて私の荷物は別な場所へ運ばれていた。インドネシア人はおそらくこういう観光施設の管理は苦手だと思う。ゴミが散乱し、蝶を飼育する管理費が足りないとかいって必要な餌や設備を与えず、蝶々は死んでいき、廃れて終わり。。。みたいなシナリオになっていくのではないかと予測する。

さて。シンガポールは美しい。ジャカルタより体感温度は暑い。くそ暑い。が、ガーデンシティの名に恥じず緑があふれている。歩道が確保されていて歩ける。ゴミもない。あらゆるところにCCTVが設置されていて夜の外出も安心。公共交通手段が充実しているし、タクシーに乗っても道のわからないタクシードライバーもいない。

ジャカルタは逆である。汚い。緑が少ない。歩道がない。あっても歩道者にやさしくできていない。バイク置場や屋台スペースに転用されている。ポイ捨て当たり前。夜の外出は場所にもよるが歩くのなんてもってのほか。なるべくしないほうがいい。CCTVが設置されていてもきちんと作動しているのかは不明。公共交通手段はあるにはあるが充実していないし安全でもない。MRTはまだない。

話はそれるがインドネシアのタクシー運転手は一番優良とされるブルーバード社のタクシー運転手でも個人の能力の差がありすぎる。経験豊富な運転手は「さすが!」という感じだが、3回に1回くらいは行き方がわからないから道順を指示してくれ、といわれる。自分が知っている場所ならいいが、初めての場所に行く場合にこれは困る。私が乗ったのはタクシーではなかったか。なんでナビらなきゃならんのか。物価がシンガポール並みにあがるのは勘弁してほしいが、他の部分がシンガポールのようになる日はくるのだろうか。

 

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スラバヤでテロ

 13日にスラバヤで教会を狙った同時多発テロがおこり、翌14日もスラバヤで警察本部で爆発が起きた。スラバヤでテロが起こるのは初めてのことのように思う。すでに十数人が死亡、40名を超える人が負傷したと報道では伝えられている。イラクとレバントのイスラム国が犯行声明を出しているようで、実行犯はISに共感している家族らしい。子連れの母親が自爆している。道連れにしたのは9歳と12歳の子供だったと思う。自分が自爆するのは構わないが、自分以外の人間を巻き込むことは本当にやめてほしい。

 今回のテロはいままでに起こってきたテロと少し違うような気がする。今までのテロは欧米人を狙ったり、直接的あるいは間接的にアメリカ等に向けられるものだったのに、今回は同国の人間を宗教の違いだけで殺すという無差別殺人だからだ。ちなみにここインドネシアではイスラム教徒が大半を占めてはいるが国教ではない。なんでも信仰していいわけではないが、お互いの宗教を認め合おうという国の基本的な考え方にも反している。

 インドネシアに住み始めてからテロが身近なものになった。最初は2002年バリ島でのテロだった。あの日は確か週末で、私も爆発の起こったあたりで遊びにでも行こうかとその時付き合っていた人に誘われたのだが、今週は疲れたから帰ろう、ということになってその場を離れてから2時間後に爆発がおこった。爆発が起こった場所は大きな穴が開き、周りにはサンダルやら何やらが散らばり、通り沿いに並ぶ店のガラスはすべて粉々になった。あの生々しい風景は忘れることができない。友人たちは飛んできた体の一部を見たという。その3年後二回目のテロがバリでおこり、ジャカルタでもそのあと何回か起こったように記憶している。いくら気を付けようとしても気をつけようがないのがテロだ。誰にでもいつでも起こりえる。もし巻き込まれたのが自分だったら。夫だったら。子供だったら。家族だったら。考えるだけでも恐ろしい。

 ジャカルタではショッピングモール、オフィスビル等に入るときはセキュリティチェックがある。最初は大げさなと思っていたがもう慣れてしまった。たまにシンガポールなどに行ったときに普通にモールに入れると「大丈夫かいな」と思ってしまうようになった。

 インドネシアは世界最大のイスラム人口を抱える国で、私の夫もイスラム教徒。イスラムというとテロや怖いイメージがあるが、普通のイスラム教徒はそんな過激な発想をもたない至って穏やかな普通の人たちである。インドネシアイスラム教は中東のように厳格ではない。女性が髪の毛や顔を布で覆うのも個人の自由である。宗教の理解は求められるが強制はあまりないというような感じだ。そうでなければ私はこの国に住んでいなかったであろう。

今年インドネシアは予定では5月17日からラマダン(断食月)が始まる。欧米のクリスマスのように家族で集まる機会が増える。一年に一度の大きなイベントだ。どうか何も起こらないでほしい。インドネシアに限らず世界中で。